佐川美術館 樂吉左衞門の黒
2018/05/09

Black RAKU 樂吉左衞門の黒
2018年03月21日(水)~2018年09月30日(日)

轆轤を用いず手捏ねで成形し、箆で削り上げて形を造り、一碗ずつ内窯で焼成される黒樂茶碗の技法は、他に類のない独特なものです。モノトーンに徹した初代長次郎の黒樂茶碗より450年、一子相伝で伝わってきた樂焼は、各代が長次郎を意識しながらも、自らの表現を追求し、伝統と創造を極めてきました。

特に当代吉左衞門は、従来の赤樂、黒樂茶碗の他に焼貫焼成によるこれまでにはない焼貫黒樂茶碗、焼貫茶入を制作、また赤樂においても、白釉を用いた皪釉茶碗など、数々の独自な世界を築いてきました。伝統的な様式を遵守するといえども、当代吉左衞門によって生み出された黒樂茶碗は、まさに「守破離」の精神、これまでの樂茶碗にはない斬新なものです。これらは歳を追って変遷し、作行、釉調を著しく変化させながら、今日も止まることなく変化しつづけています。

手捏ねで造られたままの姿に、黒の釉薬が掛けられた伝統的な技法の中にもモダンな造形の黒樂茶碗。特殊な焼貫技法を駆使し、多彩な釉薬と大胆な面取り箆や沓形に歪められた造形が前衛的な焼貫黒樂茶碗。巌のように静かで寡黙ながらも力強いモノトーンの最新作など、さまざまな黒樂茶碗のバリエーションをお楽しみください。

我行窮水處 2007年

入渓 2006年

江上阻風雨 2003年

巌 2014年

主要所蔵作品

樂焼は桃山時代、茶の湯の大成者・千利休の理想とする茶碗を初代長次郎が形にしたことにはじまり、十五代を数える。樂家は三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)好みの茶道具の制作を担う千家十職の中の茶碗師として、400年余りの伝統を営々と守り続けてこられた名門です。

なかでも当代吉左衞門氏は、伝統に立脚しながら斬新な感覚を示す造形美を表現し、国内外で高い評価を得ています。
伝統の規範性に根ざした精神とその規範を打ち破り激しい創造性を開示しつつ変貌する樂氏の世界はまさに「守破離」そのもの。
当館は常に現在進行形の樂吉左衞門作品を観ることができる美術館となります。

焼貫黒樂茶碗 銘 風舟
口径13.4×9.0、高9.8
制作年:2003年

焼貫黒樂茶碗 銘 海市
口径15.2×10.2、高9.4
制作年:2003年

焼貫黒樂茶碗 銘 鮫人
口径12.7×9.3、高9.7
制作年:2003年

​黒樂茶碗 銘 夜渡海
口径12.8×10.0、高9.7
制作年:2007年

焼貫黒樂茶碗 銘 氣昏雨已過 突兀山復出
口径14.3×18.3、高12.0
制作年:2006年

焼貫茶入
口径6.5×7.0、高11.9
制作年:2006年

ご利用案内

佐川美術館

〒524-0102 滋賀県守山市水保町北川2891

Tel:077-585-7800 Fax:077-585-7810


開館時間:9時30分~17時 (最終入館は16時30分迄)
休館日:毎週月曜日(祝日に当たる場合はその翌日)・年末年始
※展示替え等のため臨時休館する場合があります

入館料

常設展:

一般: 1000円     団体:(20名様以上)800円

高校生、大学生:600円  団体:(20名様以上)400円

中学生以下は無料

障碍者手帳提示でご本人様と付添者1名まで無料。