樂美術館 開館40周年 夏期展 樂焼って何だろう? 炎の中の赤と黒
2018/06/22

樂美術館

開館40周年 夏期展

樂焼って何だろう? 炎の中の赤と黒

会 期:630日(土)~ 826日(日)

真夜中の樂家。樂焼の窯は静かに炎を灯す。

硬い備長炭がパチパチと声を上げ、鞴(ふいごと呼ばれる木製の人力送風装置)から優しく柔らかな風が送られる。

月明かりの下、窯場の炎は凛とした空気に包まれている。

夜の冷たく澄んだ空気と、窯の暖かな炎が生み出す緊張感。

茶碗はまだ窯には入らない。窯そのものにエネルギーが蓄えられる。窯場自体がまるで精神統一をしているかのような、そんな時間が流れていく。

ちょうど月が隠れて太陽が顔を出そうとする時、もうそろそろどう? と炎に包まれた窯が話しかけ、最初の茶碗が託される。

その頃には鞴からも強くしなやかな風が送られ、備長炭もバチバチと炎を纏う。

炎は人がコントロールしようとも簡単にはできない。自然の奔放さを感じ捉えないと、たちまち業火と化してしまう。

炎に包まれた茶碗は真っ赤に輝き、産声を上げる瞬間をじっと待ち望む。

失敗を繰り返した経験の中で得た絶妙なタイミングで、真っ赤に燃え光る茶碗は、鉄鋏(てつばさみ)で窯から引き出される。

窯の温度が下がらぬよう、一瞬のうちに炭が避けられ、次の1碗が窯に託される。

そこに集う人々は勿論のこと、窯場や窯、鞴、炭、真っ赤に燃える炎など全てのものが呼吸を合わせて、1碗、そしてまた1碗と、ひとつずつ丁寧に。

そして太陽が沈む頃、炎を喰らい続けた窯は、ついには悲鳴を上げてその終わりを告げる。

今から約450年前、千利休が考える「侘茶」の思想を現す茶碗を創造する為、樂家初代・長次郎は他に類を見ない特殊な焼成方法で茶碗を生み出しました。

樂家では、現在でも変わらず窯の炎を守り続け、新たな茶碗が生まれています。

主な展示品:

黒樂茶碗 面影  長次郎作

黒樂筒茶碗 村雨  長次郎新撰七種之内 如心斎書付

黒樂茶碗 木下 三代道入作  啐啄斎書付 樂家旧蔵

赤樂茶碗 僧正 三代道入作  了々斎書付

二彩鶴首花入 三代道入作 赤星家伝来 樂家旧蔵

黒樂茶碗 梅衣 五代宗入作 啐啄斎書付 樂家旧蔵

赤樂茶碗 五代宗入作  樂家旧蔵

黒樂茶碗 秋菊 (2000年制作)十五代吉左衛門作

焼貫黒樂茶碗 女媧 (1993年制作)十五代吉左衛門作

皪釉樂茶碗 梨花 而妙斎書付(1998年制作)十五代吉左衛門作

利用案内:

公益財団法人 樂美術館

住所:602-0923 京都市上京区油小路通一条下る

TEL:075-414-0304

FAX:075-414-0307

開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)

休館日: 月曜日(祝日は開館)、展示替え期間

料 金: 大人900円  大学生700円  高校生400円  中学生以下無料