山種美術館 企画展「水を描く」
2018/07/28

山種美術館

企画展「水を描く」

広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお

2018年9月、世界各国の水の専門家が参加する「国際水協会(IWA)世界会議」が東京で行われます。水をテーマにした国際会議が催され、世界の水環境への関心がますます高まる今夏、山種美術館では、日本美術に表された水に注目し、水を描いた絵画を一堂にご覧いただく展覧会を開催します。

豊かな水源に恵まれた日本では、水は常に人々の生活とともにあり、美術作品においてもさまざまに表現されてきました。雨が池や湖をつくり、川となり海へ注ぐように、水は刻々と姿を変化させます。また、躍動する波や、光を反射する水面など、水が見せる表情は多くの画家の創作意欲をかきたてたのでしょう。水を描いた絵画には、画家たちの優れた技巧や多彩な表現をみることができます。

本展では、当館が所蔵する江戸時代の浮世絵から近代・現代の日本画まで、水が描かれた作品を厳選し、ご紹介いたします。奥入瀬渓流に取材した奥田元宋(おくだげんそう)《奥入瀬(秋)》、鳴門海峡の渦潮を描いた川端龍子(かわばたりゅうし)《鳴門》や奥村土牛(おくむらとぎゅう)《鳴門》は、川や海の流動する姿を生き生きと捉えています。また、土牛《那智》や千住博(せんじゅひろし)《ウォーターフォール》においては、勢いよく流れ落ちる滝が迫力ある大画面に描かれ、水の持つ神聖さも感じさせます。一方で、激しい夕立のなか、橋を行き交う人々を描いた歌川広重(うたがわひろしげ)(初代)《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》[後期展示]や、雨に煙る山路を表した川合玉堂(かわいぎょくどう)《渓雨紅樹(けいうこうじゅ)》は、情趣豊かに雨の風景を描き出しています。

これらの作品を通して、水の表現の幅広さとともに、画家たちが水に向けてきたまなざしや思いを感じていただければ幸いです。暑い夏の季節に、涼やかな水の絵画をお楽しみください。

主な展示品:

川端龍子《鳴門》

小堀鞆音《那須宗隆射扇図》

奥村土牛《鳴門》

奥田元宋 《奥入瀬(秋)》山種美術館

奥村土牛《那智》

川合玉堂《渓雨紅樹》

歌川広重(初代)《東海道五拾三次之内 庄野・白雨》

会期:    2018年7月14日(土)~9月6日(木)

*会期中、一部展示替えあり(前期: 7/14~8/5、後期: 8/7~9/6)

会場:    山種美術館

主催:    山種美術館、朝日新聞社

開館時間:           午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日:              月曜日 [但し、7/16(月)は開館、7/17(火)は休館]

入館料:              一般1000円(800円)・大高生800円(700円)・中学生以下無料

※( )内は20名以上の団体料金および前売料金。

※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料。

関連イベント:

「[企画展] 水を描く ―広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお―」関連講演会

『「水」色の文化史 ―日本美術の名品を味わう―』

講師:藤澤 紫 氏 (國學院大學文学部教授・国際浮世絵学会常任理事)

日時: 2018年7月21日(土)14:00~15:30(開場・受付開始 13:30)

住所:

〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36 TEL:03-5777-8600 (ハローダイヤル)

アクセス

JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅 2番出口より徒歩約10分