【清水三年坂美術館·村田理如氏の美学に触れて2020夏-第三段】
2020/07/17
和器競売オークション2020夏-村田理如氏の美学に触れて…-第一部- (copy 05) - wakisyoukai
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私どもは『和器競売オークション2020 夏 大阪(※7/27(月)-28(火)開催)』の厳選した優品を手に村田理如氏を訪ねた。

村田氏は清水三年坂美術館の館長や並河靖之有線七宝記念財団理事を勤めており、幕末・明治期を中心とする細密工芸に関して非常に造詣が深い。
訪問先は村田氏が館長を勤める三年坂美術館。
三年坂美術館は京都・清水寺にほど近い風光明媚な場所に軒を構える…─

・L066 麒麟木彫置物 H*58W*42 共箱 

→今回の表紙に使用した作品。
貝の目が非常に美しい。
丁寧な彫刻が目を見張る。
ロンドンからの里帰り品。

箱書『毛彫麒麟像』

・L345 加納夏雄作老松之図漢詩彫純銀急須 H*15/W*17.8/Φ*11.8/515g 共箱(極箱)
→非常に彫がユニークで独創的で素晴らしい。
金のつまみも素晴らしい。
シンプルだけど品格はあり、美しい。
片切彫で、夏雄ほどの名人だと鏨を絵筆のように自由自在に使用して彫りきってしまう。

加納秋雄箱書注:昭和九年神無月『純銀 水指/明治十七年六月作之』老松之図 家父夏雄刻 昭和九年神無月 秋雄識』
胴側面『老龍撃出夜明珠』/【漢文說明】夜明珠為龍之子皇帝御用之聖物。

加納夏雄(1852-1913)
・『東京美術学校(※現·東京藝術大学)』教授
・曾主導製作明治政府新貨幣模板,并奉明治天皇御命為正倉院宝物直刀製作金具(現為日本重要文化財)。
・受封正六位勳六等官衔,并被授予瑞宝章。
・本圖錄中刊載作品『加藤夏雄造四分一銀包机葉象嵌茶則』『加納夏雄作老松之図漢詩彫純銀急須』
 

【華麗なる顕彰制度・帝室技芸員】
<帝室技芸員の超絶技巧を支える力とは>

皇室より名誉職として認定される帝室技芸員ですが、その希少性もさる事ながら、現在では考えられない超絶技巧を鑑賞する事ができます。
帝室技芸員である加納夏雄(前項目参照)や海野勝珉らは共に東京国立博物館に膨大な制作記録や日誌などが収蔵されています。

①写実・スケッチの観察眼
加納夏雄は日本画を円山派・中島来章(1796-1871年)より学んでおり、膨大なスケッチ帳が現存しています。

②完全オーダーメイドの図案力
作品制作にあたる前のスケッチから図案を描き起こしていくのですが、配置や表現に試行錯誤して行くのですが、夏雄の場合は特にストイックに、図案の段階で注文主に確認を取った形跡が『日新々記』なる制作日誌に記述されています。

③次世代育成への取り組み
東京美術学校や一派の門下生や弟子らの育成の為、作品を納品するまでの進捗や完成品を拓本を手元資料として残し、次世代教育の貢献活動にも注力しています。

④模写をする鍛錬
鍛錬の為に夏雄や勝珉は過去の名工の写し(レプリカ)を作成していました。
帝室技芸員の名に恥じぬ技術の為に、努力を惜しまなかったのです。


村田氏:夏雄は此処(三年坂美術館)からほど近い京都・御池柳馬場で生まれたんですよ。

和器商会:なるほど、訪ねる事が出来ますね。

村田氏:京都は公家の街だったので、25-27歳くらいで武家の街である江戸に行ったわけです。

和器商会:下積みを京都でした事が、第一回帝室技芸員でもある加納夏雄・独特の品位ある作風を生んだんですね。

村田氏:帝室技芸員は貴重な存在です。70年ほどの帝室技芸員制度の中で、金工で帝室技芸員になった人物は5名ほどです。

和器商会:本当に貴重ですね。

村田氏:気品もレベルが違うんです。それらがこうしてオークションで手に入るチャンスがある事は素晴らしい事です。


・L347 海野勝珉・美盛 合作純銀彫刻湯沸 H*19.5/Φ*12/L*15/454g 共箱 
→図柄が非常に美しい作品。
なかなかない秀逸なクオリティである。
下部分は四分一で作っており、摘み部分も名工の技術がきらりと光る。


海野勝珉(1844-1915)
・『東京美術学校(※現·東京藝術大学)』助教授(師從加納夏雄)
・被授予勲六等瑞宝勛章
・獲従四位勲四等獎
・本圖錄中刊載作品『海野勝珉彫刻 芦蟹之図銀製湯冷』『海野勝珉・美盛 合作純銀彫刻湯沸』『海野勝珉等五名家造松五題銀茶托』『海野勝珉·鈴木長吉合作筑前松原之図銀基四分一象嵌花瓶 桂光春鑑』

・L349 海野勝珉等五名家造松五題銀茶托 H*2/Φ*11.5/402g 共箱
→勝珉が二枚作成し、勝珉一派が他三枚を制作している非常に美しい作品だ。

・L309 住友家旧蔵林谷五郎作龍図七宝大瓶 H*64/W*31.5/L*31.5/7702g 木箱
→尾張七宝の名工・林谷五郎の作品(大正期)。
どっしりとした大花瓶で、黄金の鱗を翻す五本爪の竜が堂々と正面を見据えている。
花鳥画題の多い七宝であるが、この大胆な龍の図案や、鮮やかな配色は当時かなり画期的なものであり、特注品として住友家伝来の品と言えるのも頷ける。
雲や宝珠のデザイン・配色に目を奪われる圧巻の出来である。
また、足元の青海波・極彩色の台地の表現も素晴らしい。

いかがでしたでしょうか?
村田氏を囲んで楽しい時間は笑顔が絶えなかった。
コレクターとして有名であるばかりではなく、温かみのある、人望ある素晴らしい人物である。

取材を終えて、我々も改めて原点回帰した心地だ。
今回、見極めていただいた作品はどれも現在では考えられないほどのクオリティと技術を見る事ができる。
どの作品にも迷いはなく、秀逸なものばかりである。
作品はどれも知的であり、それであって人々を癒す力が備わっている。

時代を超え、私たちの美意識に訴えかけてくれる貴重なものばかり…─

当時の名工らの洗練された技術・日々の鍛錬・観察眼・そしてセンスに脱帽してしまう。

美の極致と言っても過言ではない、日本が世界に誇る品々をぜひ手にしてみてください。
私どもでもお手伝いさせていただきます。

【和器競売2020夏季拍賣會 大阪】

【会場】

千里阪急酒店 2F 樹林の間 

〒560-0082 

大阪府豊中市新千里東町2丁目1

電話: 06-6872-2211

【預展】

7/27   13:00-20:00

7/28   10:00-14:00

【拍賣會】

7/28   14:00-19:00(預計)

※具體時間如有變動,將隨時在KEIBAY官網發佈,請予以確認!

(https://www.keibay.com/)

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